キャッシング関連会社の方からのインタビューを再構成した記事です。
申込書を奪って走り去ってしまったお客様
まだ、お店で実際にお客様と対面で審査していた頃の話です。
そのお客様は、お店に入ってくるところから少し挙動不審でした。
何だかオドオドとした感じで、落ち着きがない感じがします。
見た目は普通のサラリーマンでした。
私:「いらっしゃいませ、当店は初めてでらっしゃいますか」
お客様:「はい」
私:「ではこちらの申込書にご記入頂けますでしょうか」
身分証明書をお預かりして、他社での借入等を調査しました。
ありゃ、これは借りすぎです、本審査に移る前に貸付不可になってしまいました。
記入頂いた申込書と仮審査結果を持って店長のところへ行きます。
店長:「これはダメだね。お断りして。」
私:「はい。」
お客様のところに戻ると、尋常でない貧乏ゆすりをしてお客様お待ちです。
(危ないんじゃ)
若干、カウンターから離れ気味にお客様に対峙します。
私:「審査の結果、今回は」
ここまで言ったところで、お客様は悟ったんでしょう。
私の持っていた申込書とお預かりしていた免許証をつかんでダッシュで出て行かれます。
私:「お客様、申込書はお返し下さい〜。」
の声もむなしく、エレベーターにも乗らずに階段を駆け下りて、ビルの外を駆け抜けて行かれました。
支店の窓から再度叫びましたが、私のむなしい「お客さまぁ〜」の声は都会の喧噪にかき消されました。
後で、店長にこっぴどく叱られました。