キャッシング関連会社の方からのインタビューを再構成した記事です。
受付していると申込みしている方の後ろに不審な人物が
まだお客様と直接、顔を合わせて審査をしていた頃です。
お客様は普通のというか少し頼りない感じの中年サラリーマンでした。
私はお客様の免許証をお預かりしながら、申込書の書き方を説明していました。
ふと、後ろのソファを見ると次のお客様が座っています。
私:「お待ちのお客様、こちらにどうぞ。」
隣の受付席を案内します。
お客様:「いや、私の付き添いなので。」
えっ、今受付しているお客様が答えます。
私:「そうなんですか。ご家族でしょうか。」
お客様「はい、えー、兄です。」
(えーって何、えーって)
私:「分かりました。お兄様、お茶でも如何でしょうか。」
少し、話を聞かないとと思って後ろの「お兄様」へ声を掛けます。
またもや、お客様がお返事を。
お客様:「いや、兄は飲みませんので。」
(なんじゃ、そりゃ)
お兄様をそれとなく観察します。
濃いめのサングラス、髪はきれいに撫で付けられていて、スーツではないのですが襟の付いたシャツにジャケットをお召しです。
靴が異様に光ってます。
うーん、いわゆる普通の人には見えません。
(こりゃ、まずいのでは)
店長に相談します。
店長:「それは借金させられに来ている可能性が高いな。一応、10万円で様子見させて下さいと言ってこい。」
私:「後ろのお兄さんに私が怒られないでしょうか?」
店長:「まぁ大丈夫だろう。何かあれば、」
私:「何かあれば?」
店長:「すぐ警察に電話するから。」
(助けてはくれないんですね、そうですか、そうですか。)
私:「はい・・・。」
カウンターに戻ると、お兄様とお客様が談笑中です。笑ってはいないですね、お兄様の目が怖いです、お客様涙目ですが大丈夫でしょうか。
いや、他人事ではないです。あの怒りの目が私に向く可能性が。
私:「本日のところは10万円で」
お客様:「それならいらないです。」
間髪入れずに、キャンセルです。
免許証を鷲づかみにして、お兄様とそそくさと出て行かれました。
あの後、あのお客様はどうなったんでしょうか。そしてあのお兄様は一体何をされている方だったんでしょうか。
謎は深まるばかりですが、世の中には知らなくて良いこともあるのかも知れません。